横浜市南区弘明寺のアレルギー科・耳鼻咽喉科
いでい耳鼻咽喉科医院

いでい耳鼻咽喉科医院
ご予約・お問い合わせ tel.045-715-4133

〒232-0067
神奈川県横浜市南区弘明寺町134 GMビル1F

【No.229】バイオリンと耳鳴り、難聴

バイオリンを使っている方に、片側だけ耳鳴りがある方が少なくありません。バイオリンは片方の耳のそばで大きな音が出るため、片耳だけ負担がかかりやすいのです。ですから、大抵の場合は左耳だけ。

音が耳の穴の中に入ると、外耳道から鼓膜を振動させ、中耳で振動増幅させ、内耳に音を伝えていきます。それとは別に、骨に音の振動が伝わると、外耳と中耳を経由せずに、内耳に直接音が入ることがあります。前者を気導聴力、後者を骨導聴力と呼びます。耳鼻咽喉科では両方の聴力を計ることがあります。

凄く大きな音が耳に入ると、内耳を守るために、中耳の中にある鼓膜緊張筋や鎧骨筋が働き、音を減弱します。でも、骨導では、骨振動が直接内耳に伝わるため、大きな音が、弱められずに内耳に伝わってしまうのです。内耳の中には大きな音にとても弱い有毛細胞があります。その有毛細胞が壊れると難聴になり、早期に治療を開始しないと、回復は難しく、生涯残ります。音楽をやっている方の耳鳴りは、耳を酷使しているか、難聴になっている場合が大半です。

バイオリンを演奏する時には、耳の穴から大きな音が入るだけでなく、顔の骨に音の振動が直接伝わり、内耳まで到達します。つまり、気導聴力以外に骨導聴力も関係するのです。

WHO(世界保健機関)によると、85dB以上の音を1日8時間以上聴くと、聴力に影響が出る可能性があるとされています。100dBを超える音量では15分程度でもリスクが高まります。

dB(デシベル)とは聴力レベルのことで、健聴者は0dBで、数字が大きいほど音量が大きくなります。日常会話は60dB、うるさいと感じ始めるのは70dBくらい。そして、バイオリンを演奏している時の音量は約96dBです。ですから、少なくともバイオリンは8時間以上弾かないようにして下さい。もしも、それ以上の時間練習が必要ならば、音を減弱する器具ミュートを弦につけるか、耳栓やヘッドホンの使用を検討して下さい。もちろん、振動が出来るだけ骨に伝わらないようにタオルなどを十分に当てるようにしましょう。

聴力が落ちてくると、より大きな音を求めてしまう傾向もあります。その場合、聴力が低下することが少なくなく、注意が必要です。ギターやドラムスを使っている方には特によくみられます。

音楽をやっている方にとっては、耳は特に重要です。耳に少しでも異常を感じたならば、速やかに耳鼻咽喉科を受診して下さい。プロの方は定期的な検査もお勧めします。