2020/07/15
先週みえた女性の患者さんが数ヶ月前から片耳がポワポワして、自分の声も響くと訴えて来院しました。他院では詳しい説明を受けずに、メニエール病の薬をもらっていましたが、効果がないので、当院を受診しました。
一見元気そうでしたが、顔にツヤがなく、明らかにダイエットしている女性と分かりました。
色々と聞いていくと、テレビのコマーシャルで有名になったライザップに通い、半年で体重を10kg落とし、あと3kg落とすつもりだと。
病名は耳管開放症。
耳管とは鼻とのどの境から鼓膜の奥を結んでいる管で、あくびや嚥下する時に空気などが行き来し、それ以外の時には閉じています。
その耳管の締まりが悪いと、鼻やのどの音、例えば自分の声や呼吸が鼓膜に響いてしまいます。
主な原因は急な体重減少、むくみ、加齢、鼻すすり。
私もジムに通って水泳をして、体重が今より8kg少なくなった時には喋るたびに自分の声が左耳に響いて、あまりにもうるさくて、耳栓しても効果が無く大変困りました。私の場合は忙しくなって、運動不足になり、自然と体重が増えると治りました。
通常の聴力検査や鼓膜の動きをみるチンパノと言う検査では分からず、耳管機能検査で異常が見つかります。この検査器械がない医療機関も多く、診断がつきにくいのです。
原因となった生活を改善して漢方薬や点鼻などの処方により改善することが大半です。
ごく稀に、難治の場合には耳管ピンの挿入を検討することになりますが、当院では行っていません。
先ほどの女性の患者さんがダイエットを中止できるようならば、一番いいのですが、なかなか大金をかけ努力して落とした体重を戻すことには抵抗があるようです。