横浜市南区弘明寺のアレルギー科・耳鼻咽喉科
いでい耳鼻咽喉科医院

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ダイビングの鼓膜トラブルは命に関わる一大事

最近ダイビングで鼓膜に穴が開いてしまった患者さんが2人続けて来られました。ダイビング後に聞こえが悪いことに気付き、耳が詰まった感じが取れず、鼻をかむと耳から空気が漏れるといった症状がありました。ダイビング後の鼓膜穿孔の原因は、明らかに耳抜きの不良とスキルや経験の不足です。危うく最悪死亡につながる大事故になるところでした。
ダイビングで潜降中は、水圧により鼓膜の内側にある中耳の空気の体積が小さくなっていきます。これは気体に圧を強くかけていくと、体積は小さくなっていくためです。同時に中耳と鼻とのどの境を結んでる耳管の中の空気の体積も小さくなり、耳管の通りが悪くなっていきます。更に海水が鼓膜を外側から強い力で押し続けますので、中耳内の空気は抜けやすく、鼻やのどからは空気が入りにくい状況になります。この状況で、鼓膜の外側と内側との圧に差が生まれていき、鼓膜は内側に凹んでいきます。そのままにしていると激しい耳の痛みが出ます。痛まないためには、中耳に空気をたすか、浮上するしかありません。前者が耳抜き、後者はダイビングを中断すると言うことです。ですから、ダイビングには適切な耳抜きは絶対に必要なことなのです。これが出来ないと、激しい痛みの後に、鼓膜が圧力に耐えきれず、破けてしまうことがあります。
冷たい海水が片側の中耳内に入ると、回転性のめまいもおこります。これは三半規管の機能を調べるために医療機関でもカロリックテストと呼ばれ、実際に冷水を片側耳に入れ、そちら側の三半規管の機能を一時的に低下させ、めまいが十分におこるか調べます。海中でめまいがおこると、左右上下が分からなくなり、吐き気も出て、パニックになって呼吸が速くなり、タンク内のエアーが速く消費していき、エア切れで最悪死亡事故に繋がることもあります。水中でめまいがおこったときには、眼球が無意識に激しく動いています(眼振)ので、まずは目をつむりましょう。そして、出来る限りゆっくりと深呼吸して、10数えて下さい。するとめまいはかなり軽くなっているはずです。まだめまいが残っていれば、同じことを繰り返して下さい。少なくとも30数えればめまいはほぼなくなっているはずです。その後落ち着いてから、タンクの残圧を確認してください。とにかく落ち着いて行動できるかが大切。あと、慌てている時にはフィンを動かしてしまいやすく、いつの間にか浮上してしまいます。フィンを動かさないためには、足を外側に向けてガニ股に固定してください。
ダイビングでトラブルがあり、心配な時にはダイビングに詳しい医師にかかるようにして下さい。
スキューバダイビング外来